1. 事例概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施工分類 | 改築(フルリノベーション) |
| 物件所在地 | 富山県黒部市金屋 |
| 建物種別・用途 | 食堂兼社員寮 |
| 延床面積 | 520㎡ |
| 階数・構造 | 地上2階建て |
| サムネイル | 外観 |
※ 表札・車両ナンバー・施設利用者が写り込む写真・住所が特定される情報は掲載しておりません。
2. この事例の見どころ


築200年以上を経た茅葺屋根をそのまま活かしながら、建物全体をフルリノベーションした法人案件です。基礎の刷新には曳家(ひきや)工法を採用し、伝統的な躯体を傷めることなく耐震補強を施しました。室内は床を下げて天井高を確保することで、長年使い込まれてきた木組みの空間に新たな伸びやかさをもたらしています。暖房にはHP式(ヒートポンプ式)床暖房を導入し、社員食堂と寮としての日常使いに耐える快適性を備えました。歴史ある建物を「これからも使い続ける器」として再生した事例です。
3. 改修前の課題と、発注者からのご要望

築200年超の建物を、社員の食事と生活を支える食堂兼社員寮として再生したいというのが、本プロジェクトの出発点でした。長い年月を経た伝統建築をそのまま使い続けるには、現代の安全基準と日常の使い勝手の両方を満たす再構築が必要となります。本案件では以下のような方向性を共有しながら計画を進めました。
- 築200年以上の茅葺屋根を解体せず活かしたい
- 古い基礎を現行基準に即した耐震性能へと刷新したい
- 食堂・寮として日々使うため、室内の快適性と空間の伸びやかさを高めたい
4. ご提案と施工のこだわり
4-1. 茅葺屋根を継承する判断と、伝統建築としての価値

築200年以上の歳月を重ねた茅葺屋根は、建物の歴史そのものを象徴する存在です。一般的に、これだけの年月を経た伝統建築では「解体して建て替える」という選択肢が取られることも少なくありません。本案件では、屋根が持つ意匠的・文化的価値を継承する判断のもと、茅葺屋根を活かしたまま建物全体を再構築する方針としました。建物の用途は食堂兼社員寮へと再定義しつつ、外観の歴史的な佇まいはそのまま残しています。
4-2. 曳家工法による基礎のやり直しと耐震補強

築年数の長い木造建築では、基礎の劣化や現行耐震基準との乖離が課題になりやすい部分です。本案件では、上屋(建物の上部構造)を保持したまま建物を一時的に移動させ、基礎を施工し直す曳家工法を採用しました。曳家工法は、伝統建築の躯体を解体せずに基礎を刷新できる手法として、文化財建築や古民家の再生現場でも用いられています。基礎の打ち直しに合わせて耐震補強も実施し、200年を超える歴史的な建物を、長く安心して使い続けられる構造へと整えました。
4-3. 床を下げて天井高を確保した内部空間の再構成

伝統的な木造建築では、梁や小屋組の美しさを引き立てる天井高がデザインの肝となります。本案件では床レベルを下げることで、結果的に天井高を高く確保する手法を採用しました。これにより、社員食堂として複数人が集う空間にも、社員寮として日々生活する空間にも、息苦しさのない伸びやかな広がりを与えています。古い梁や柱が持つ表情と、再構成された床・天井のスケール感が調和する内部空間に仕立てました。
4-4. HP式床暖房による日常の快適性

食堂兼社員寮として日常的に使われる建物では、暖房性能が利用者の満足度に直結します。採用したのはHP式(ヒートポンプ式)床暖房です。ヒートポンプ式は空気中の熱を汲み上げて利用する方式で、燃焼を伴う暖房と比べて運用コストを抑えやすい特徴があります。床面から立ち上がる輻射熱は空気を直接暖める対流式と比べて、温度ムラや空気の乾燥が少なく、長時間滞在する食堂や寝起きする寮の空間に適した暖房方式と一般的に言われています。富山県東部の黒部エリアは冬季に積雪と冷え込みが厳しい気候であり、こうした地域特性に対しても床暖房の導入は有効に働きます。
5. 主な素材・設備
| 部位 | 仕様 |
|---|---|
| 屋根 | 既存の茅葺屋根を活用(築200年以上) |
| 基礎・構造 | 曳家工法による基礎のやり直し/耐震補強 |
| 床・空間構成 | 床レベルを下げて天井高を確保 |
| 暖房設備 | HP式(ヒートポンプ式)床暖房 |
※ 詳細な素材・設備の追加情報はお預かり中のため、確認後に追記いたします。
6. 完成後の使われ方


- 歴史を継承する外観:築200年以上の茅葺屋根がそのまま残り、敷地に建つ建物そのものが、企業が大切にする時間軸を伝える存在となる。
- 安心して使い続けられる構造:曳家工法による基礎刷新と耐震補強により、伝統建築でありながら現代の安全性能を備えた建物として、長期運用に耐える。
- 広く伸びやかな内部空間:床を下げて確保した天井高により、食堂として人が集う場面でも、寮として落ち着いて過ごす場面でも、空間の圧迫感が少ない。
- 日々の快適性:HP式床暖房が、富山県東部の厳しい冬にも安定した室内環境をつくり、社員の食事と生活を支える。
※ 竣工写真は施工事例ギャラリーに掲載しています。
7. 発注者の声
現在、発注者さまからのコメントをお預かりしているところです。掲載許可をいただき次第、本セクションに追記いたします。
8. 富山県内で歴史的建物の再生・法人施設の改築をお考えの方へ
築年数を重ねた建物を「解体して建て替える」のではなく、「活かして使い続ける」という選択は、企業が積み上げてきた歴史や文化を空間として残す手段でもあります。本案件のように茅葺屋根を継承しながら基礎・耐震・断熱・暖房を現代水準に整える再生工事には、伝統工法と現代工法の双方への理解と、現場ごとの判断力が求められます。
中邑工務店は、富山県富山市八尾町を拠点に昭和45年(1970年)から住宅・法人建築・古民家再生を手がけてきました。事務所・店舗・施設といった法人建築から、築年数の長い建物の再生、古材を活かす設計まで対応可能です。曳家工法による基礎刷新や、文化的価値の高い屋根・躯体を残したままの改修など、現場の条件に応じた工法選定からご相談いただけます。
- 対応エリア:富山市を中心とした富山県内(黒部市を含む県内全域に対応)
- 対応領域:法人建築(食堂・寮・事務所・店舗・施設等)/古民家再生/注文住宅/リフォーム
事例スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施工分類 | 改築(フルリノベーション) |
| 施工範囲 | 屋根活用/基礎やり直し(曳家工法)/耐震補強/内部全面改修/床暖房設置 |
| 建物種別・用途 | 食堂兼社員寮 |
| 延床面積 | 520㎡ |
| 階数・構造 | 地上2階建て |
| 所在地 | 富山県黒部市金屋 |
| 主要テーマ | 築200年超の茅葺屋根活用/曳家工法による基礎刷新/耐震補強/天井高を確保した内部再構成/HP式床暖房 |
