TOP > 古民家の活かし解体の費用相場|古材を売却・再利用して解体コストを抑える7ステップ【2026年最新】

古民家の活かし解体の費用相場|古材を売却・再利用して解体コストを抑える7ステップ【2026年最新】

解体の見積書を1行ずつ追っていくと、「木くず処分費」という項目に行き当たります。その金額には、祖父母の代から家を支えてきた大黒柱や、囲炉裏の上に渡された太い梁も含まれています。総額の高さに驚くより先に、家の骨組みまで廃材として数えられていることに目が留まります。

2026年時点で、古民家の解体費用は坪3万〜5万円程度が一つの相場の目安とされています。令和5年(2023年)10月1日以降は、石綿(アスベスト)の事前調査を資格のある人が行う決まりにもなりました。重機でまとめて壊せば処分費がかかる部材も、職人が手で外せば、買い手のつく古材になる場合があります。この考え方で進める解体が活かし解体です。

この先では、重機解体と活かし解体の見積もりを差し引きで比べる方法を整理します。古材の売却・再利用から更地にするまでの手順も、届出を含めて順に示します。読み終えるころには、自分の家に合った解体の段取りを組み立てる材料がそろいます。

第1章 古民家の活かし解体とは?重機解体との違いと費用相場の考え方

最初に、活かし解体という言葉の意味を整理します。あわせて、費用相場を見るときに一般的な解体と何が違うのかを確認します。

1-1. 活かし解体とは|古材を取り出してから建物を壊す解体方法

活かし解体とは、梁や柱、建具など再び使える部材を手作業で取り外し、残りを解体する方法です。循環型解体(部材を次の使い手へ循環させる解体)とも呼ばれます。一般社団法人全国古民家再生協会の案内では、解体時に古材鑑定を行い、古材を活かせる形で残して次の世代へ継承する方法として紹介されています。

古民家の骨組みには、今の住宅ではあまり見かけない太さや長さの木材が使われていることがあります。こうした部材を廃材として処分するか、古材として残すかを分ける点に、活かし解体の特徴があります。

1-2. 重機による一般的な解体と活かし解体の工程の違い

一般的な解体工事では、重機で建物をまとめて壊し、出た木材は木くずとして分別して処分します。工程が短く、人の手間も少ない方法です。

活かし解体では、重機が入る前に次の工程が加わります。

  • 取り外し:手壊し(重機を使わず職人が手作業で部材を外す作業)で、梁・柱・建具などを外す
  • 養生・保管:外した部材を雨や傷から守り、搬出まで保管する
  • 残りの解体:古材を取り出した後の建物を重機で解体する

重機で壊す前に「取り出す」という手作業の段階が入る、と考えると分かりやすいでしょう。

1-3. 活かし解体の費用相場は「上がる費用」と「下がる費用」の差し引きで見る

活かし解体の費用相場は、坪単価だけでは判断できません。手作業が増える分、工事の人件費や日数は増えます。一方で、古材の買取額が入り、木くずとして処分する量も減ります。

つまり、上がる費用と下がる費用のどちらが大きいかで総額が決まります。その差は建物ごとに違うため、第3章で見積書の行ごとに分けて確認します。

第2章 古民家の解体費用相場|坪単価と延床面積別の目安・内訳

活かし解体の費用を考える土台として、まず重機で解体する場合の一般的な相場と内訳を確認します。

2-1. 古民家の解体費用は坪3万〜5万円程度が目安|一般的な木造住宅より高くなる理由

解体費用の比較サービス各社が公表している目安(2026年9月時点)では、古民家の解体費用は坪3万〜5万円程度とされています。一般的な木造住宅は坪2万〜3.5万円程度が相場で、古民家のほうが高めです。

古民家の解体費用の相場が高くなりやすい理由は、主に次の3つです。

  • 廃材の量が多い:太い柱や梁に加え、土壁や瓦がまとまって出る
  • 付属屋が多い:増築部分や納屋、土蔵などが母屋とは別にある
  • 建材の確認が要る:建てた時期や改修の時期によっては、アスベストを含む建材が使われている可能性がある

2-2. 延床面積別に見る古民家の解体費用相場|富山の住宅が広いことの影響

坪単価の目安から総額を計算すると、延床面積ごとの相場は次のようになります。

延床面積坪3万円で計算した場合坪5万円で計算した場合
30坪90万円150万円
42坪126万円210万円
50坪150万円250万円
70坪210万円350万円

この表は、坪単価の相場から単純計算した参考値です。実際の金額は、建物の構造や付属屋、敷地の条件によって変わります。

表に42坪を入れたのは、富山の住宅の広さに合わせたためです。総務省統計局の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、富山県の専用住宅1住宅当たり延べ面積は**138.77㎡**で全国1位です。これは約42坪にあたり、面積が大きい分だけ、坪単価の相場のわずかな差が総額に響きます。

ただし、坪単価の相場はあくまで机上の計算です。付属屋の傷み具合や、重機が通れる道幅があるかどうかは、現地でしか分かりません。富山県富山市八尾町に拠点を置き、県内の建物を見てきた中邑工務店のような工務店であれば、坪数だけでは読めない条件を現地で確かめたうえで見積もりに反映できます。

2-3. 解体費用の内訳と、見積もりに後から加わりやすい費用

解体の見積もりは、おおむね次の4つの項目で構成されます。

  • 仮設工事:足場の設置や、ほこり・騒音を抑える養生
  • 本体の解体工事:建物そのものを取り壊す作業
  • 付帯工事:塀・樹木・井戸・浄化槽・蔵など、建物以外の撤去
  • 運搬・処分:廃材をトラックで運び、種類ごとに処分する費用

このほか、工事が始まってから加わりやすい費用もあります。代表的なのは、アスベストを含む建材の除去と、残置物(建物に残された家具や道具)の処分です。地中埋設物(地面の下に残った古い基礎・井戸・浄化槽など)が見つかると、その撤去費用も加わります。見積書では、こうした費用が含まれているのか、別途扱いなのかを確かめておくと安心です。

第3章 活かし解体で古民家の費用相場はどう変わる?下がる費用と上がる費用

活かし解体を選ぶと、見積書のどの行が減り、どの行が増えるのかを分けて示します。差し引きで判断するための軸として、4つの節で整理します。

3-1. 下がる費用①古材・建具の買取額

活かし解体で最も分かりやすく下がるのは、取り出した古材や建具の買取額です。古材買取や解体を扱う事業者が示す一例(2026年9月時点)では、古民家1棟から出る古材の買取額は30万〜50万円程度とされることが多くあります。

ただし、この金額は部材の状態・樹種・量で大きく変わり、値がつかない場合もあります。また、買取額は部材そのものの価値だけで決まるわけではありません。取り出しや運搬の手間を差し引いたうえで提示されることもあるため、金額の内訳を確認しておくことが大切です。

3-2. 下がる費用②木くずとして処分する量の減少

重機解体では、柱や梁も含めて木材の多くが木くずとして処分されます。活かし解体で部材を取り出せば、その分だけ処分費の対象になる量が減ります。

取り出す部材が多いほど、見積書の「木くず処分費」の行は小さくなります。ただし、減る金額は取り出す量や処分先の条件で変わるため、一律の相場では言えません。

3-3. 上がる費用|手壊しによる人手と工期、古材の養生・保管・運搬

一方で、活かし解体には増える費用もあります。重機で壊せない範囲が広がるほど、職人の人手と作業日数が増え、工事費に反映されます。部材を傷めずに外すには、組み方に沿って順番にばらしていく必要があるためです。

さらに、取り出した古材には次のような費用がかかります。

  • 養生:雨や泥、傷から部材を守るための覆いや梱包
  • 保管:売却先や新居の工事が決まるまで部材を置いておく場所
  • 運搬:長い梁や太い柱を運ぶためのトラックと人手

これらは、重機解体の見積もりには出てこない行です。業者によって計上の仕方が違うため、相場と比べる前に、どこまでが含まれているかを見比べる必要があります。

3-4. 差し引きで得になりやすい古民家・なりにくい古民家の見分け方

活かし解体で総額が下がるかどうかは、建物の条件で分かれます。見積もりを取る前に、次の点を確認しておくと判断しやすくなります。

差し引きで得になりやすい古民家

  • 太い梁・大黒柱・欅(ケヤキ)などの部材がまとまって残っている
  • 腐朽やシロアリの被害が少ない
  • トラックが入れる道に面し、部材を置ける敷地の広さがある
  • 取り出した古材を、建て替える新居で使う予定がある

差し引きで得になりにくい古民家

  • 部材が細い、または傷みが大きい
  • 狭い路地に面していて、手作業の時間が長くなる
  • 古材の売り先や使い道が決まっていない

活かし解体を選んでも、総額が下がる場合もあれば、重機解体と同程度か上回る場合もあります。その分かれ目を見積もりの前に知っておくことが、費用相場の読み違いを防ぐ近道です。

第4章 価値が付く古材の見極め方|古民家の活かし解体の前に確認したい4つのポイント

第4章 価値が付く古材の見極め方|古民家の活かし解体の前に確認したい4つのポイント

買取や再利用の対象になりやすい古材の条件を、4つのポイントに絞って紹介します。

4-1. 買取・再利用の対象になりやすい部材|大黒柱・梁・差物・建具・欄間

古民家から取り出す部材のうち、買取や再利用の対象として検討されやすいのは次のようなものです。

  • 大黒柱:家の中心に立つ、ひときわ太い柱
  • 梁:屋根や床の重さを受け止める横向きの材
  • 差物(さしもの):柱と柱をつなぐ、背の高い横材
  • 建具:板戸や格子戸など、開け閉めする戸
  • 欄間(らんま):鴨居(かもい:戸の上の横木)の上にはめ込む装飾板

いずれも、新しく流通している木材では手に入りにくい太さや風合いを持つことが多い部材です。

4-2. 樹種・太さ・長さ・状態で変わる古材の評価

古材の評価や買取価格の相場は、主に樹種・太さ・長さ・状態の4点で変わります。樹種では、欅(ケヤキ)・松・栗・杉などが古民家でよく見られます。長さがある木材ほど、切り分けて使える場面が広がります。

反対に、次のような状態は評価を下げる要因になりやすい点です。

  • 腐朽:湿気で木が腐り、強度が落ちている
  • シロアリ被害:内部が食べられて空洞になっている
  • 大きな割れ:乾燥や荷重で深い割れが入っている
  • 後から開けた穴:改修の際に配線や金物のために開けた穴がある

同じ家の中でも、部材によって状態は違います。1本ずつ見立てることで、取り出す価値のある部材が見えてきます。

4-3. 富山の古民家に多い「ワクノウチ」と「アズマダチ」|太い差物と化粧梁

富山県が文化財紹介で解説しているように、県内の民家はヒロマ(家の中心に置かれた広い部屋)を軸にした間取りと構造に特徴があります。ヒロマの太い柱を幅のある差物で結び、上部に化粧梁(見せるための梁)を十字に組んだ堅固な軸組は、「ワクノウチ」と呼ばれます。県西部では、これが切妻造り妻入りの「アズマダチ」型(屋根の三角形の面を正面に向けた造り)へと変化したとされています。

こうした軸組には長く太い部材が使われており、活かし解体で取り出す価値を検討する対象になりやすいといえます。もっとも、実際の評価は部材ごとの状態で決まります。

差物や化粧梁は、組み方を知らずに外すと傷めやすい部材です。昭和45年(1970年)から富山で建物を手がけ、古民家再生に取り組んできた中邑工務店のような工務店では、軸組の組み方を踏まえて取り外しの順番を考えられます。

4-4. 古材鑑定で価値を書面にする|鑑定書でわかること

取り出す前に古材の価値を客観的に知りたい場合は、古材鑑定という方法があります。全国古民家再生協会の案内によると、鑑定士が古材の価値を評価し、古材鑑定書を発行する仕組みです。

鑑定書によって古材の状態が明確になり、再利用に関する情報も得られるとされています。鑑定の結果は、買取先とのやり取りや、新居で使う部材を選ぶ際の判断材料になります。依頼の条件は、協会の案内で確かめるのが確実です。

第5章 古民家の活かし解体を進める7ステップ|更地にするまでの手順と届出

活かし解体は取り出しの工程が加わる分、順番を誤ると手戻りが出ます。更地にするまでの7つの工程を、届出も含めて時系列で整理します。

5-1. 解体後の土地の使い道を決め、建物と家財の状態を確認する(STEP1〜2)

STEP1:解体後の土地の使い道を決める

最初に、解体した後の土地を建て替えに使うのか、売却するのか、駐車場などにするのかを決めます。使い道によって、古材を新居で使うのか、売るのかが変わるためです。跡地の使い道は、補助金の対象になるかどうかにも関わります。

STEP2:建物と家財の状態を確認する

次に、家財・仏壇・農機具などの残置物がどれだけあるかを確認します。納屋や土蔵などの付属屋、井戸や浄化槽の有無も、見積もりの前に把握しておきたい項目です。

5-2. 古材の査定と解体の見積もりを同じタイミングで取る(STEP3)

STEP3:古材の査定と解体の見積もりをそろえる

古材の査定と解体の見積もりを別々に取ると、どの部材を取り出すかの前提がずれやすくなります。査定では取り出す前提の部材が、解体の見積もりでは処分の対象に入っている、といった食い違いが起こるためです。

そこで、重機解体の場合と活かし解体の場合の2通りの見積もりを、同じ前提で並べて比べます。行ごとに見比べれば、第3章で見た「上がる費用」と「下がる費用」の差が、相場ではなく自分の家の金額で見えてきます。

5-3. アスベストの事前調査と建設リサイクル法の届出(STEP4)

STEP4:アスベストの調査と法律上の届出を済ませる

解体工事の前には、法律で定められた手続きがあります。大気汚染防止法などにもとづき、解体工事の元請業者は**石綿(アスベスト)**を含む建材の有無を事前に調査します。富山県の案内によると、令和5年(2023年)10月1日以降の建築物の解体等工事では、有資格者による調査が義務づけられています。

解体部分の床面積が80㎡以上の工事では、令和4年(2022年)4月1日以降、アスベスト調査の結果報告も必要です。報告先は、県または富山市と、労働基準監督署です。

次に、建設リサイクル法(建設工事で出る資材の分別と再資源化を定めた法律)の届出です。環境省が示す建設リサイクル法の概要では、床面積80㎡以上の建築物の解体工事は分別解体(資材を種類ごとに分けながら解体すること)等が義務づけられています。発注者である施主が、工事に着手する7日前までに届け出る必要があります。

富山市の案内では、市内の提出先は富山市建築指導課です。届出は施主の義務ですが、委任状があれば代理人が届け出ることもできます。

5-4. 古材の取り外し(手壊し)から重機解体・整地まで(STEP5〜6)

STEP5:古材と建具を手作業で取り外す

手壊しで古材や建具を取り外し、養生したうえで保管・搬出します。取り外す順番と置き場所は、事前に業者と決めておきます。

STEP6:残りを重機で解体し、整地する

古材を取り出した後、残りの建物を重機で解体します。基礎を撤去して地面を平らにならし、更地の状態にします。

富山の冬は、積雪によって重機の搬入や古材の保管に影響が出ることがあります。工事が雪の時期にかかる場合は、工程の組み方や部材の置き場所を業者と事前に確認しておくと安心です。

5-5. 建物滅失登記と古材の引き渡し、更地にした後の確認(STEP7)

STEP7:滅失登記と古材の引き渡しを済ませる

建物がなくなったら、建物滅失登記(建物が存在しなくなったことを登記簿に記録する手続き)を申請します。不動産登記法第57条では、建物が滅失した日から1か月以内に申請することが所有者に求められています。

あわせて、取り出した古材を買取先へ引き渡すか、新居の工事が始まるまで保管します。更地にした後は、地中埋設物の撤去が見積もりどおりに済んでいるかも確かめておきます。

第6章 解体した古民家の古材を活かす4つの再利用方法|建て替え・リフォームへの組み込み

第6章 解体した古民家の古材を活かす4つの再利用方法|建て替え・リフォームへの組み込み

古材は売るだけでなく、自分たちの次の住まいに残す選択肢もあります。その使い方を、4つの再利用方法に分けて紹介します。

6-1. 建て替える新居の梁や柱として見せる

取り出した梁や柱を、建て替える新居の構造材として使う方法です。構造材として再利用する場合は、強度の確認と、設計上どう扱うかの検討が必要になります。

構造材として使うのが難しい場合でも、化粧梁として天井に見せる方法があります。以前の家の梁が新しい居間の天井に渡るだけで、住まいの印象は大きく変わります。

6-2. 建具・欄間を新しい住まいの間仕切りや飾りに組み込む

格子戸や板戸、欄間は、新しい住まいの間仕切りや飾りとして使えます。古い建具は今の住宅と寸法が合わないことが多く、組み込むには調整が欠かせません。

そのため、使いたい建具が決まったら、新居の設計段階で寸法を設計者に伝えておきます。後から合わせようとすると、開口部の作り直しなどで工事の手間が増えるためです。

6-3. テーブルやカウンターなどの家具に加工する

6-3. テーブルやカウンターなどの家具に加工する

構造材や建具として使わない古材も、テーブルやカウンター、棚板などの家具に加工できます。長い梁は大きな天板に、太い柱は飾り台などに仕立て直せます。

加工には、古材の乾燥状態やくせを見て、木取り(1本の材のどこを切り出すか)を考える経験が要ります。古材の買取から加工・販売までを手がける中邑工務店のような工務店であれば、取り出した古材を家具として仕立て直す相談も同じ窓口でできます。

6-4. 移築や部材の譲渡で、次の使い手に引き継ぐ

自分たちで使いきれない古材は、ほかの使い手に引き継ぐ方法もあります。全国古民家再生協会の案内では、古材を協会のネットワークで希望者に提供し、移築(建物を解体して部材を運び、別の場所で組み直すこと)を望む買い手とつなぐ仕組みが紹介されています。これにより、解体費用の削減につなげる考え方です。

同協会は、新築に使う木材の15%を古材にすると、1年間で約120kgのCO2削減になるとも示しています。古材を引き継ぐことは、費用の面だけでなく環境の面でも意味を持ちます。

第7章 補助金と税制で負担を減らす|富山市で古民家の活かし解体に使える制度

解体そのものに使える補助金と、解体した後の税金に関わる制度を分けて整理します。いずれも2026年9月時点の情報のため、最新の要件は各機関の公式サイトで確認が必要です。

7-1. 富山市老朽危険空き家等除却事業補助金|対象経費の2分の1・上限50万円

富山市が案内する「老朽危険空き家等除却事業補助金」は、危険な状態の空き家の解体を支える制度です(2026年9月時点)。対象は市内の戸建て住宅・長屋で、床面積の2分の1以上が住まいとして使われていたものです。市の調査で、一定水準以上の危険度があると判定されることが条件になります。

補助金の額は、対象経費の**2分の1(上限50万円)**です。除却(解体)に着手する前に事前協議を行い、交付決定を受ける必要があります。窓口は、富山市活力都市創造部住宅政策課(076-443-2112)です。

注意したいのは、状態のよい古材が残る古民家は、危険度の判定に当たらない場合があることです。つまり、この補助金と活かし解体は両立しないこともあります。

7-2. 富山市空き家再生等推進事業補助金|跡地を地域のために使う場合

富山市の「空き家再生等推進事業補助金」は、除却した後の跡地を地域のために活用する場合の制度です(2026年9月時点)。除却の場合、この補助金は対象経費の**5分の4(上限160万円)**です。

条件は、除却後5年以上継続して跡地を活用することです。活用の例として、ポケットパークやコミュニティガーデン、鉄道やバスの待合所などが挙げられています。対象は、営利や宗教活動を目的とせず、地域課題の解決や活性化を目指す事業実施者です。

そのため、個人が建て替えや売却のために解体する場合には、この補助金は使えません。

7-3. 相続した空き家を取り壊して売るときの3,000万円特別控除

相続した古民家を解体して土地を売る場合は、税制の特例も関係します。国税庁の案内(タックスアンサーNo.3306)では、相続等で取得した被相続人の居住用家屋と敷地を売り、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できるとされています。

対象は、令和9年(2027年)12月31日までの譲渡です。令和6年(2024年)1月1日以後の譲渡では、譲渡の翌年2月15日までに家屋を取り壊した場合も対象になります。この控除の上限は相続人1人あたりの金額で、相続人が3人以上いる場合は1人あたり2,000万円になります。

主な要件には、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、売却代金が1億円以下であることなどがあります。家屋については、次の3点が求められます。

  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築されたこと
  • 区分所有建物登記がされていないこと
  • 相続の開始直前に、被相続人以外に住んでいた人がいないこと

古民家の多くは、この建築時期の要件に当てはまります。そのほかの細かな要件は、国税庁の案内で確認しておくことが大切です。

7-4. 更地にした後の固定資産税|住宅用地特例と1月1日の関係

解体の時期を考えるうえでは、固定資産税も見落とせません。総務省の固定資産税制度の資料では、住宅が建っている土地は住宅用地特例(住宅の敷地の税負担を軽くする仕組み)の対象です。200㎡以下の部分は課税標準が価格の6分の1、200㎡を超える部分は3分の1になります。

特例の適用は、毎年1月1日(賦課期日)の状況で判断されます。解体して更地になったまま1月1日を迎えると、その年度の固定資産税から特例が外れます。そのため、解体の時期と建て替えの着工時期をあわせて考えることが大切です。

一方で、空き家のまま置いておけば特例が続くとは限りません。国土交通省の案内によると、令和5年(2023年)12月13日施行の改正空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)で、対象外となる範囲が広がりました。市町村長から勧告を受けた「特定空家等」に加え、「管理不全空家等」の敷地も特例の対象から外れます。

第8章 見積額だけで決めない|古民家の活かし解体を任せる業者の選び方4つ

活かし解体は、通常の解体よりも業者による差が出やすい工事です。見積もりを比べるときに確認したい観点を、4つ紹介します。

8-1. 解体工事業の登録または建設業許可を確認する

解体工事を請け負う業者には、法律上の条件があります。富山県の案内によると、解体工事業を営むには、土木・建築・解体工事業のいずれかの建設業許可か、都道府県知事への解体工事業の登録が必要です。

富山県では、主たる営業所を管轄する土木センターが登録の窓口です。見積もりを依頼する前に、許可や登録の有無を確認しておきます。

8-2. 古材の「買取」と「処分」を見積書で分けて書いてもらう

見積書に「解体工事一式」とだけ書かれていると、古材がどう扱われているのか分かりません。取り出す部材の一覧、古材の買取額、処分費を、それぞれ別の行で示してもらうと比べやすくなります。

あわせて、買取額が解体費用から差し引かれているのか、別に支払われるのかも確認します。同じ金額でも、扱い方によって最終的な支払額の見え方が変わるためです。

8-3. 手壊しの範囲・工期・古材の保管場所を契約前に決める

活かし解体では、どの部材を外すかによって工期と費用が変わります。契約の前に、次の点を業者と取り決めておきます。

  • 手壊しで外す部材の範囲
  • 外した部材を置く場所
  • 雨や雪から部材を守る方法

決めた内容は口約束にせず、書面に残しておくと後の食い違いを防げます。

8-4. 解体の後の建て替え・リフォームまで同じ窓口で相談できるか

古材を新居で使う場合、解体と新居の設計を別々の会社に頼むと、調整の役目が施主に残ります。古材の寸法を設計者に伝えたり、新居の工事が始まるまでの保管期間を決めたりする役目です。

そのため、解体の後の建て替えまで見通して話ができるかどうかも、業者選びの観点になります。注文住宅やリフォーム、土地・空き家の販売まで扱う中邑工務店のような工務店であれば、解体の段階から新居での古材の使い方まで一続きで計画できます。

第9章 古民家の活かし解体で寄せられる4つの疑問

活かし解体を検討し始めた段階で出やすい疑問を、4つ取り上げます。

9-1. 「活かし解体にすれば、普通の解体より必ず安くなりますか?」

必ず安くなるとは限りません。古材の買取額と処分費の減少で費用が下がる一方、手壊しの人手や古材の保管・運搬で費用が上がるためです。

どちらが大きいかは建物ごとに違い、一律の相場はありません。重機解体と活かし解体の2通りの見積もりを同じ前提で取り、行ごとに比べるのが確実な方法です。

9-2. 「古材が売れるかどうかは、解体する前に分かりますか?」

現地で部材の樹種・太さ・状態を見れば、買取価格の相場も含めて、ある程度の見立ては立ちます。ただし、壁の中や床下に隠れた部分は、取り外した後に状態が分かることもあります。

正確な評価は、取り外した後の状態で決まる部分があると考えておくとよいでしょう。書面で価値を確認したい場合は、第4章で触れた古材鑑定という方法もあります。

9-3. 「家財や仏壇が残ったままでも、査定を頼めますか?」

古材の査定自体は、家財が残っている状態でも受けられる場合が多くあります。ただし、解体業者が工事に入るまでには、片付けを済ませる必要があります。

残置物の処分を業者に任せると、その分の費用が加わります。自分たちで処分できるものを減らしておくと、費用を抑えやすくなります。

9-4. 「大黒柱や梁など一部だけ残して、あとは重機で解体できますか?」

一部の部材だけを取り出し、残りを重機で解体する方法は可能です。取り出す範囲を絞るほど、手作業にかかる費用は抑えやすくなります。

どの部材を残すかは、新居での使い道と合わせて決めるのが基本です。

第10章 解体費用を次の住まいの材料に変える|古民家の活かし解体で残す部材を決めるために

第10章 解体費用を次の住まいの材料に変える|古民家の活かし解体で残す部材を決めるために

解体費用は、ふつう支払った時点で手元に何も残らないお金です。活かし解体では、その一部が古材の買取額として戻り、次の住まいの天井や家具として形を変えて残ります。そのお金が何に姿を変えるかは、解体の段取りで決まります。

出ていくお金は、坪単価の相場で見当をつける本体の解体費用に、手壊しの人手と、古材の養生・保管・運搬が加わったものです。戻ってくるお金には、古材の買取額と、木くずとして処分する量が減った分があります。条件が合えば、富山市の補助金や、相続した空き家を売るときの3,000万円特別控除も負担を軽くします。

形として残るのは、新居の梁や建具、古材から仕立てた家具、そして移築や譲渡でほかの使い手に渡る部材です。3つに分けて眺めると、解体の見積もりは部材の行き先を決める計画表に変わります。費用を抑えることと、家で使われてきた部材を残すことは、どちらか一方を諦める話ではありません。

古材の買取から建て替えまで、中邑工務店が一社で扱う範囲

中邑工務店の事業には、古民家再生と並んで、古材の買取・加工・販売があります。解体で出た古材を家具として再利用する取り組みも、その一つです。古材の買取額と新居での使い道を、同じ会社の中で並べて考えられます。

業務の範囲は、注文住宅やリフォーム、法人建築、土地・空き家の販売にも及びます。跡地に建て替えるか、土地として売るかも、古材の扱いと同じ窓口で検討できます。無料の現地査定と古材査定見積もりも行っています。昭和45年(1970年)の設立以来、拠点は富山県富山市八尾町にあります。

払えば消えるはずの解体費用のうち、どれだけを次の暮らしへ持ち越せるかは、いま家の中にある部材をどう仕分けるかで決まります。

メールでのお問い合わせ

サービスや法人に関するご質問は
こちらより気軽にお問い合わせください。

電話でのお問い合わせ

お電話でのご質問・ご相談は
こちらの番号へお問い合わせください。

076-454-2938 平日 9:00-17:00