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古民家リノベーションの費用相場|築80年超を今の住み心地に変える工事費の内訳7項目と実例【2026年最新】

古民家リノベーションの費用相場として公開されている数字には、数百万円から数千万円まで10倍以上の開きがあります。この幅のままでは、自分の家の予算を決められません。

幅が生まれる大きな原因は、設備のグレードよりも「どの性能まで引き上げるか」が決まっていないことです。築80年を超える家は1950年の建築基準法制定より前の建物で、耐震と断熱をどこまで現代に近づけるかで工事の範囲そのものが変わります。

総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査では、富山県だけでも1950年以前に建てられ今も人が住む住宅が約1万5千戸あります。ここでは住み心地の目標、費用の内訳7項目、実例に見る費用配分、2026年9月時点で使える制度を順に押さえると、見積書を項目ごとに読めるようになります。

第1章 築80年を超える古民家とは?リノベーション費用が一般住宅と変わる3つの理由

第1章 築80年を超える古民家とは?リノベーション費用が一般住宅と変わる3つの理由

「古民家」の範囲を確認し、築80年を超える家の費用が一般の住宅と違う理由を3つ見ていきます。

1-1. 築80年超の古民家は1950年の建築基準法より前に建てられた伝統構法の住宅

一般社団法人全国古民家再生協会の定義では、昭和25年(1950年)の建築基準法制定時にすでに建てられていた伝統構法の住宅を古民家としています。伝統構法とは、釘や金物に頼らず、木を組み合わせて建てる日本の伝統的な建て方です。同協会は、文化庁の登録有形文化財の基準(原則として建設後50年を経過したもの)に合わせ、築50年を経過した木造軸組の住宅とする定義も示しています。

2026年時点で築80年を超える家は1946年以前の建築で、この「建築基準法より前」の建物にあたります。

1-2. 石場建てと土壁|現在の仕様規定と考え方が違う構造が費用を左右する

古民家には、柱を礎石に載せて基礎と固定しない「石場建て」で、柱を横に貫いてつなぐ「貫(ぬき)」と土壁が粘り強さを支える家が見られます。

規制改革推進会議に提出された資料(2018年)では、石場建ては柱脚を基礎に緊結しない構法とされています。木造の仕様規定(建築基準法の標準的な仕様)に当てはまらない耐震要素の評価には、限界耐力計算(建物がどこまで変形しても倒れないかを確かめる計算)などが求められることがあります。この構造を残すか、現代の基礎に置き換えるかで、調査・設計・工事の費用相場は大きく変わります。

1-3. 富山県に残る1950年以前の住宅は約1万5千戸|全国の約2倍の比率

総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査によると、富山県で人が住んでいる住宅401,900戸のうち、1950年以前に建てられたものは15,100戸です。割合は約3.8%で、全国の約2.0%のおよそ2倍です(建築時期「不詳」を含む総数から算出)。1951〜1970年の33,500戸を加えると、1970年以前の住宅は48,600戸、約12.1%にのぼります。

第2章 古民家リノベーションの費用相場|工事範囲4区分の目安と公的調査の平均額

費用相場を「工事範囲の区分」と「公的調査の平均額」の2方向から見ていきます。

2-1. 部分改修からスケルトン・移築まで|工事範囲4区分で見る古民家リノベーションの費用相場

古民家リノベーションの費用相場は、工事範囲によって4つの区分で考えられます。スケルトンは柱・梁などの骨組みだけを残して内外装を撤去する改修、移築は建物を解体して別の場所で組み直すことです。

工事範囲の区分主な工事内容費用の目安
① 部分改修水回り・内装の更新が中心数百万円台
② 性能向上を含む改修①に耐震補強・断熱改修を加える1,000万円前後から
③ スケルトン再生骨組みを残し、間取り・内外装・設備を全面的に改修2,000万円を超えることが多い
④ 移築再生解体・運搬・組み直し・基礎の新設数千万円規模

※2026年9月時点の一般的な目安で、中邑工務店の価格ではありません。建物の状態・面積・仕様で大きく変わります。

②から先は、第3章の性能目標によって相場の幅が広がります。工事項目ごとの単価の目安は、[[富山で古民家再生にかかる費用の目安(工事別)]{.underline}](URL未定:記事格納/富山_古民家再生_費用.md の公開URL)で整理しています。

2-2. 公的調査に見る戸建てリフォームの平均費用|築50年以上は平均637.8万円

住宅リフォーム推進協議会の「2025年度 住宅リフォームに関する消費者実態調査」(2026年2月公表・インターネット調査)によると、一戸建てのリフォーム実施者の費用は平均470.1万円でした。築50年以上の住宅に限ると平均637.8万円ですが、回答数が44件と少ないため参考値です。

同じ調査で、検討時の予算は平均349.0万円と実際の費用より約120万円少なく、想定より膨らみやすい傾向がうかがえます。

第3章 住み心地の目標で費用が決まる|耐震・断熱・設備から考える古民家リノベーション

「今の住み心地」を耐震・断熱・設備の3つの目標に分け、それぞれの水準が費用相場にどう効くかを見ていきます。

3-1. 耐震の目標|上部構造評点1.0以上を目指す古民家の補強と費用の考え方

耐震性の目安は上部構造評点(建物が地震に耐える力を、必要な強さで割った数値)です。日本建築防災協会の『木造住宅の耐震診断と補強方法』では次のように判定されます。

上部構造評点判定
1.5以上倒壊しない
1.0以上1.5未満一応倒壊しない
0.7以上1.0未満倒壊する可能性がある
0.7未満倒壊する可能性が高い

同書の一般診断法は伝統的構法も適用範囲に含み、柱120mm角以上なら柱や垂れ壁を耐震要素とする方法もあります。一方、文化庁の『伝統的建造物群の耐震対策の手引』(令和2年1月)は、伝統的木造建築には限界耐力計算による方法が特に適し、一般診断法の適用には注意が必要としています。

目標評点を上げるほど壁の追加や基礎の改修が広がり、耐震補強の費用は増え、間取りの自由度は狭まります。伝統構法の家は、壁の量だけでなく貫や柱の太さ、柱脚の納まりまで見て判断します。伝統技術と現在の施工技術の両方で古民家の再生を手がける中邑工務店のような工務店では、補強で残す部分と改める部分を構造から見立て、目標評点の案を示せます。

3-2. 断熱の目標|断熱等級4と等級5で変わる古民家リノベーションの工事範囲

国土交通省の断熱等性能等級は、UA値(家全体から熱が逃げる量の目安。小さいほど断熱性が高い)で決まります。5地域の基準は次のとおりです。

断熱等性能等級UA値の基準(5地域)位置づけ
等級40.87省エネ基準相当
等級50.60ZEH水準
等級60.46―
等級70.26―

富山市の案内によると、令和元年11月16日の改正で市内全域が「5地域」になりました。

土壁や真壁(柱が見える壁)を見せたまま断熱するか、内側に断熱層をつくるかで、工法と費用が変わります。窓の改修は、断熱の効果と費用の釣り合いの両面で優先度の高い工事です。なお国土交通省の解説資料では、2025年4月からの省エネ基準適合義務は修繕・模様替(いわゆるリフォーム)は対象外で、増改築も増改築部分のみが対象です。

3-3. 水回り・温熱・段差|毎日の暮らしやすさに効く設備改修の優先順位

設備は、後から工事しにくいものから優先すると予算の配分を誤りにくくなります。

  1. 配管の更新:内装を仕上げた後では工事しにくいため、全面更新の要否を早めに見極めます。
  2. 水回りの寒さ対策:ヒートショック(急な温度差で血圧が大きく変動すること)を防ぐため、断熱と暖房を水回りの間取りとあわせて考えます。
  3. 土間と居室の段差:床の高さを変えるため、構造や配管と一体で計画します。

第4章 見積書で確認したい古民家リノベーション費用の内訳7項目

見積書の費用は、7つの内訳に分けると全体像がつかめ、相場と比べやすくなります。古民家で膨らみやすい項目もあわせて見ていきます。

4-1. 調査・診断費|耐震診断と床下・小屋裏の調査

工事の前には、耐震診断やインスペクション(専門家が劣化や不具合を調べる建物状況調査)で、床下の土台や柱脚、小屋裏の梁の傷みまで確かめます。

富山県の木造住宅耐震診断支援では、自己負担が住宅の大きさと図面の有無により2千円〜6千円です(2026年9月時点)。富山市では延べ280㎡以下の住宅なら、図面ありで2千円、図面なしで4千円です。

4-2. 設計・構造検討・確認申請費|2025年4月の法改正で増えた手続き

国土交通省の「木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について」によると、2025年(令和7年)4月1日以降の着工から扱いが変わりました。木造2階建てまたは延べ200㎡超の平屋(新2号建築物)で大規模の修繕・模様替を行う場合は建築確認が必要で、延べ200㎡以下の平屋(新3号建築物)は不要です。大規模の修繕・模様替とは、主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)の一種以上の過半を改修する工事を指します。

部位建築確認が必要なケース不要なケース
屋根垂木(屋根の下地を支える部材)まで及ぶ改修で過半屋根材のみの改修・カバー工法
外壁主要な材まで及ぶ改修で過半外装材のみの改修・内側からの断熱改修
床根太(床板を支える横木)まで及ぶ改修で過半仕上げ材のみの改修・上に被せる改修
水回り・手すり―水回りの改修・手すりの設置

延べ100㎡超の大規模なリフォームは、建築士による設計・工事監理も必要です。スケルトン再生は確認申請の対象になりやすく、図面のない古民家では現況調査や図面作成も設計の費用に加わります。

4-3. 解体・仮設・廃材処分費|残す部材を選び分ける手間

古民家の解体では、再利用する梁や建具、瓦を傷めずに外す手間がかかります。足場などの仮設や廃材の分別・処分もこの項目に入ります。石綿(アスベスト)を含む建材があれば、事前調査と適正な処理が求められます。

4-4. 構造補強・基礎工事費|石場建てを残すか、基礎をつくり直すか

石場建ての古民家では、大きく2つの選択肢があります。

  • 柱脚を残して補強する:礎石に柱を載せた納まりを活かし、壁や接合部を補強します。
  • 基礎を新設する:曳家(建物を壊さずに移動させる工法)や揚げ家(建物を持ち上げて基礎を新設する工法)で上屋を動かし、基礎をつくります。

後者は費用が大きくなる一方、床下の湿気対策や配管の自由度も得られます。選択は第3章の目標評点と構造計算の考え方で決まります。

4-5. 屋根・外壁・窓の外皮工事費|断熱の目標がそのまま金額になる部分

外皮(屋根・外壁・床・窓など、家の内と外を隔てる部分)は、第3章の断熱の目標がそのまま金額に表れ、相場の差も出やすい部分です。屋根は茅葺・瓦・金属のどれを選ぶかで重さが変わり、重いほど地震の力が大きくかかるため、耐震補強の量にも関わります。

4-6. 設備・配管・電気・内装の仕上げ費|古民家で交換範囲が広がる理由

古い給排水管や配線は現在の規格や暮らし方に合わず、部分交換では済まない場合があります。浄化槽や上下水道の引き込みも確認の対象です。間取りを変える範囲が広いほど、配管・配線と内装の工事も増えます。

4-7. 工事費の外側にかかる費用|仮住まい・引っ越し・登記・保険・予備費

工事費の外にも、次の費用がかかります。

  • 仮住まいの家賃と、行き帰りの引っ越し費用
  • 増築などで床面積が変わる場合の登記費用
  • 火災保険・地震保険の見直し
  • 予備費

予備費の考え方は6-2で扱います。

第5章 実例に見る古民家リノベーションの費用配分|築200年超の茅葺民家を再生した工事

第5章 実例に見る古民家リノベーションの費用配分|築200年超の茅葺民家を再生した工事

1件の事例を分解し、相場の数字だけでは見えない、第4章の内訳のどこに費用が向かったかを読み解きます。工事金額は非公開のため、配分先に絞って説明します。

5-1. 黒部市・延床520㎡の食堂兼社員寮|茅葺屋根を残すと決めた改修の概要

中邑工務店が手がけた富山県黒部市の施工では、築200年以上の茅葺屋根を解体せずに活かし、法人の食堂兼社員寮としてフルリノベーションしました。

項目内容
所在地富山県黒部市金屋
用途食堂兼社員寮(法人)
規模延床面積520㎡・地上2階建て

住宅ではありませんが、古い建物を今の使い方に合わせる点は住まいの改修と共通です。住宅だけでなく法人の建物も手がける工務店であれば、古い建物を食堂や寮など別の用途に合わせる計画にも対応できます。

5-2. 曳家で基礎をやり直す判断|費用が構造と耐震補強に配分される理由

この事例では4-4の「基礎を新設する」側を選び、曳家工法で建物を一時的に移動させて基礎をやり直し、あわせて耐震補強も行いました。

曳家なら上屋を解体せずに基礎を新しくできる反面、建物を動かす作業や基礎工事など、完成後に見えない部分に費用の多くが向かうのが一般的です。

5-3. 床を下げて天井高を確保・床暖房を導入|住み心地に配分された工事

もう一つの配分先は住み心地です。この施工では床を下げて天井高を確保し、HP式(ヒートポンプ式)床暖房を採用しました。

床の高さの変更は、床組みや配管と一体の工事になります。床暖房は足元からの輻射熱(物から直接伝わる熱)で暖めるため、天井の高い空間でも足元が冷えにくいとされます。施工の写真は、サイト内の施工事例ページに掲載しています。

第6章 解体後に増える費用への備え|古民家リノベーションで予算を守る3つの方法

第6章 解体後に増える費用への備え|古民家リノベーションで予算を守る3つの方法

解体後に見つかる傷みで工事の範囲が変わる前提に立ち、予算超過を防ぐ手立てを、調査・契約・仕分けの3つから整理します。

6-1. 解体前の調査を厚くする|床下・小屋裏・柱脚を見てから見積もりを固める

相場と比べる前に、見積もりの精度は解体前の調査の深さで決まる点を押さえます。床下で土台や柱脚を、小屋裏で梁の割れや雨染みを確かめてから金額を固めると、工事中の想定外を減らせます。仕上げ材の一部を試験的にはがし、壁の中を確認する方法もあります。

6-2. 予備費と追加工事の決め方を契約前に取り決める

第2章の公的調査では、検討時の予算平均349.0万円に対し、実際の費用は平均470.1万円でした。傷みが見つかりやすい古民家では、この差がさらに広がる可能性があります。

そこで予備費は工事費の外に別枠で確保し、追加工事が出ても断熱や設備を削らずに済むようにします。追加工事の手順も、契約前に書面で決めておくと安心です。

  1. 見つかった傷みを写真などで報告する
  2. 追加工事の内容と金額を示す
  3. 施主の合意後に着手する

6-3. 残す・直す・替えるを仕分ける|古材と建具を活かして費用の行き先を選ぶ

残す部材を先に決めると、限られた予算を構造と性能に回しやすくなります。梁や柱、建具、欄間などを「残す」「直して使う」「替える」に仕分けると、費用の行き先と間取りの方向がはっきりします。

仕分けには、部材の状態を見極める目が欠かせません。古民家の再生と並行して古材の販売にも携わる中邑工務店のような工務店では、梁や柱が再利用に耐えるかを材として判断できます。

第7章 2026年に使える補助金と減税|古民家リノベーションの費用負担を減らす3つの制度区分

2026年9月時点の制度を「耐震」「省エネと減税」「使えない・使いにくい制度」の3区分で整理します。要件は年度ごとに変わるため、最新情報は各公式サイトで確かめる必要があります。

7-1. 耐震補強の補助|富山県・富山市の木造住宅耐震改修支援は最大140万円

富山県の木造住宅耐震改修支援制度では(2026年9月時点)、工事費の5分の4(上限120万円)と設計費の3分の2(上限20万円)で、合計最大140万円が補助されます。対象は昭和56年5月31日以前に着工した木造一戸建ての軸組工法の住宅で、伝統工法によるものも含むと明記されています。

富山市の制度も補助率と上限は県と同じで、建物の過半が同日以前に着工した住宅が対象です。ほかの地域にも、同様の耐震改修の補助金を設ける市町村は多くあります。

7-2. 断熱改修の補助と減税|住宅省エネ2026キャンペーンとリフォーム促進税制

国の住宅省エネ2026キャンペーン(2026年9月時点)では、断熱リフォームに次の補助金があります。

事業主な要件補助の上限
みらいエコ住宅2026事業(リフォーム)平成28年12月31日以前の新築住宅で、開口部と躯体(床・壁・天井など)の断熱が必須平成3年までの新築住宅は50万円/戸(特定の省エネ設備を加えると100万円/戸)
先進的窓リノベ2026事業1申請あたりの補助額が5万円以上100万円/戸

申請予約は遅くとも2026年11月16日、交付申請は遅くとも同年12月31日までで、予算上限に達した時点で終了します。申請は登録事業者が行い、住まい手は直接申請できません。

国土交通省の令和8年度税制改正の概要では、所得税のリフォーム促進税制が令和10年12月31日まで延長され、耐震・省エネは限度額各250万円、最大控除額25万円です。固定資産税も令和13年3月31日まで延長され、工事完了の翌年度に耐震改修は税額の2分の1、省エネ改修は3分の1が減額されます。

7-3. 2026年に使えない・使いにくい制度|申請前に確認したい3つの注意点

  1. 長期優良住宅化リフォーム推進事業:公式サイトに「令和8年度、本事業は実施しません」と明記されています(令和7年度は補助率3分の1・上限80万円/戸など)。
  2. 富山市「まちなか・公共交通沿線中古住宅取得等支援事業」:富山市の案内によると新耐震基準への適合が要件で、昭和56年5月31日以前に着工した住宅は評点1.0以上か同時の耐震補強が必要です。対象地区も限られます。
  3. 富山県「空き家フルリノベーション支援事業費補助金」:富山県の案内によると買取再販事業者などが対象で、個人が自宅を改修する場合は対象外です。

なお住宅省エネ2026キャンペーンは、国費が入った地方の補助金と併用できません。

第8章 依頼先で変わる古民家リノベーションの費用|見積もりを比べる3つの視点

同じ古民家でも、依頼先によって費用の流れと見積もりの中身が変わります。比べるときの視点を3つ挙げます。

8-1. 設計事務所・リノベーション会社・工務店|依頼先による費用の流れの違い

設計事務所に設計と工事監理を頼み、施工を別の工務店が担う場合は、設計料と工事費が別々に発生し、窓口も2つになります。第三者の目で工事を確かめてもらえる一方、調査結果を両者で受け渡す手間がかかります。

リノベーション会社は企画から施工まで一つの窓口で扱い、協力会社が施工する形もあります。工務店のように設計と施工を一つの会社が担う場合は、調査結果を設計と見積もりの内訳にそのまま反映しやすく、工事中の変更にも同じ窓口で対応できます。

8-2. 総額より先に比べたい、調査の深さと予備費の扱い

相見積もりでは、総額や相場との差に加えて次の4点を比べます。

  • 調査の範囲:床下・小屋裏・柱脚まで確認した金額か
  • 「一式」の多さ:数量や範囲が読み取れない「一式」の項目はないか
  • 追加工事の取り決め:報告・見積もり・合意の手順が契約書にあるか
  • 古材の扱い:残す部材の取り外し・保管の手間が計上されているか

8-3. 設計から施工、完成後の点検まで同じ会社に任せられるか

完成後の手直しを誰が担うのかは、見積もりの段階で確かめておきたい点です。

富山県富山市八尾町に拠点を置き、昭和45年(1970年)から地域の住宅に携わってきた中邑工務店のような工務店であれば、設計から施工までを一貫して担えます。木の家は完成後も季節ごとに動くため、拠点の近い工務店なら手直しにも通いやすくなります。

第9章 古民家リノベーションの費用について寄せられる3つの疑問

見積もりを待つ間に浮かびやすい、費用の疑問3つに答えます。

9-1. 「築100年を超える古民家でも、リノベーションで住める状態にできますか?」

築年数よりも、柱・梁・土台の状態と構造の診断結果で決まります。第5章の事例のように、築200年を超える建物を再生したケースもあります。

一般診断法で全体の傾向をつかみ、伝統構法の特徴が強い家では精密な診断や限界耐力計算も検討します。そのうえで目標評点を1.0とするか1.5とするかを決め、補強の範囲と費用を見積もります。

9-2. 「建て替えとリノベーションでは、どちらの費用が安く済みますか?」

一概にはいえません。建て替えでは現行の建築基準法や接道義務(敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していなければならない決まり)に合わせる必要があり、再建築できない敷地もあります。

解体費と新築費の合計、リノベーション費用に加え、入手しにくい大断面の梁や柱など残せる構造の価値も比べます。

9-3. 「住みながら工事をすると、費用は抑えられますか?」

住みながらなら仮住まいや引っ越しの費用は減らせますが、区画ごとに工事を分けるため、工期や養生の手間が増えることがあります。

スケルトン再生では、住みながらの工事は難しいのが一般的です。第2章の工事範囲の区分と費用相場をあわせて判断します。

第10章 見積もりの前に目標値を決める|古民家リノベーションの費用相場を自分の家の金額にするために

第10章 見積もりの前に目標値を決める|古民家リノベーションの費用相場を自分の家の金額にするために

住宅省エネ2026キャンペーンの申請予約は、遅くとも2026年11月16日で締め切られます。申請は登録事業者が行うため、それまでに工事内容と金額を固めなければなりません。その金額は、断熱と耐震の目標値が決まるまで出せません。

費用は、目標値から順に組み上がります。上部構造評点の目標が補強の範囲を決め、補強の範囲が基礎のつくり方と確認申請の要否を左右します。断熱等級は、屋根・外壁・窓の工事範囲を決めます。その合計に予備費を足し、使える補助金や減税を差し引いた額が、実際の負担になります。

株式会社中邑工務店の古民家再生|伝統の技術と今の性能を一つの計画に

貫や土壁で揺れに粘る家に、評点や等級という今の物差しをどう重ねるかで、計画の骨格が決まります。株式会社中邑工務店は、地域に伝わる建築技術と新しい施工技術を併せて用い、古い建物を現代の技術で快適な住まいによみがえらせる古民家再生に取り組んでいます。

黒部市の事例では、茅葺屋根を残したまま曳家で基礎をやり直して耐震補強を施し、床を下げて天井高を確保したうえでHP式床暖房を採用しました。昭和45年(1970年)に富山県富山市八尾町で創業し、注文住宅の設計施工やリフォーム、法人建築、古材と土地・空き家の販売も手がけています。

古民家リノベーションの費用相場は、耐震と断熱の目標値が決まったとき、はじめてその家の金額として読めるようになります。

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