国土交通省の「令和7年度 住宅市場動向調査」(2026年7月公表)では、中古の一戸建てを買った世帯のうち、自分で検査人に依頼して建物を調べた世帯は3.9%でした。売主が実施した12.2%を足しても、調査を経た購入は約16%にとどまります。
中古住宅の中でも古民家は、床下や小屋裏、増築部分との継ぎ目など、内見で目が向きにくい場所の傷みがリノベーションの費用を大きく左右します。そこを確かめずに買うと、改修の見積もりが購入後に膨らみ、後悔につながります。
ここでは、買ってはいけない古民家を費用が膨らむ危険度の3段階で見極める方法を、構造のサイン、内見、敷地と権利、購入価格への反映の順に、2026年9月時点の情報で整理します。
第1章 買ってはいけない古民家とは?築年数より「直す費用が読めるか」で見極める3つの理由
「買ってはいけない」を、古さではなく改修費が読めるかどうかで捉え直し、その理由を3つ示します。
1-1. 買ってはいけない古民家は「古い家」ではなく、改修費が購入前に読めない物件
古民家の物件価格が手ごろでも、構造の傷みの広がりが分からなければ、リノベーション(間取りや性能まで作り替える大規模な改修)の総額は決まりません。傷んだ部分を直すリフォームで済むのか、骨組みから手を入れるのかで、費用の桁が変わるためです。
つまり買ってはいけない古民家とは、リノベーション費用を購入前に見積もれない物件のことです。見極めの目的は、改修費を見通せる状態かどうかを確かめることにあります。
1-2. 1950年より前の伝統構法と、その後の増改築|築年数だけでは状態を見極められない理由
一般社団法人全国古民家再生協会は、1950年(昭和25年)の建築基準法制定時にすでに建っていた伝統構法(釘や金物に頼らず木を組んで建てる工法)の住宅を、古民家と定義しています。
ただし、築年数が同じでも建物の状態は一様ではありません。手入れや屋根の葺き替え、下屋(母屋に差し掛けて付けた小さな屋根の部分)の増築といった履歴で、傷み方は大きく変わります。築年数だけで良し悪しは決められません。
1-3. 2025年4月の建築基準法改正で、古民家の大規模リフォームに建築確認が必要なケースが増えた
国土交通省の案内によると、2025年4月1日以降に着手する工事から、木造2階建てなどで行う大規模なリフォームが建築確認の対象になりました。大規模とは、壁・柱・床・はり・屋根・階段のうち一種以上について、過半を改修する工事を指します。水回りだけの改修や手すりの設置は、従来どおり確認不要です。
購入後に骨組みから直すリノベーションを考えるなら、確認申請が通る建物かどうかが計画と費用の前提になります。1950年より前に建った部分には、そもそも確認済証や検査済証がありません。国土交通省は、書類のない建物を建築士が調べる方法を「既存建築物の現況調査ガイドライン」で示しています。検査済証がないことだけで、直ちに違反と判断するものではないともしています。
第2章 リノベ費用の膨らみ方で分ける、買ってはいけない古民家の3段階判定
傷みをリノベーション費用への効き方で3段階に分けると、見送るか上乗せして買うかを判断しやすくなります。
| 判定 | 主なサイン | 費用が膨らむ理由 | 購入判断 |
|---|---|---|---|
| レベル3:見送りを検討 | 構造の傷みが複数の部位に広がる/建物全体の傾きが大きい/敷地や法規の条件で改修の手続きが見通せない | 基礎・土台・小屋組をまとめて組み直す工事になり、解体するまで範囲が確定しない | 改修費の上限を決められないなら見送る |
| レベル2:改修費を上乗せして判断 | 一部の土台・柱脚の腐れ/礎石のずれ/雨漏りの跡が小屋裏に及ぶ/増築部分の継ぎ目の傷み | 構造補強や屋根の下地の工事が加わる | 調査で範囲を絞り、改修費を購入価格に足して判断する |
| レベル1:購入後の改修で対応 | 建具の建付けの悪さ/土壁の表面のひび/内装・設備の古さ | 仕上げと設備の工事にとどまる | 改修計画の中で優先順位をつける |
※2026年9月時点の一般的な目安です。建物の状態・規模・改修の目標によって判定は変わります。
2-1. 見送りを検討するレベル3|構造と敷地の両方に問題がある古民家
レベル3は、購入後の後悔が大きくなりやすい段階で、傷みが一か所にとどまらず、床下から小屋組までつながっている古民家です。敷地の条件で確認申請の見通しが立たない場合も、この段階に入ります。
解体して初めて工事の範囲が決まるため、リノベーション費用の上限を購入前に置けません。価格や使い道で判断は変わりますが、上限のないまま購入するのは避けたい物件です。
2-2. 改修費を上乗せして判断するレベル2|構造の一部に手当てが要る古民家
レベル2は、土台の腐れや礎石のずれ、小屋裏に及んだ雨漏りの跡など、補強や屋根の工事で手当てできる傷みが中心の古民家です。
調査で傷みの範囲を絞り込めれば、補強・屋根・断熱・設備の工事費を見積もりに乗せ、購入価格と合わせて判断できます(第6章)。
2-3. 購入後の改修で対応できるレベル1|仕上げ・設備の傷みにとどまる古民家
建具の建付けの悪さや土壁の表面のひび、古い台所や浴室は、見た目の印象ほどリノベーションの費用を押し上げません。古さだけで物件を候補から外す必要はありません。
ただし、建具の歪みや壁のひびが、建物の傾きや沈みの結果として現れていることもあります。その場合はレベル2・3に上がるため、第3章と第4章で原因を確かめます。
第3章 プロの工務店が見る構造の危険サイン7つ|買ってはいけない古民家の床下・軸組・屋根

リノベーション費用を大きく左右する構造のサインを、床下・軸組(柱と梁の骨組み)・屋根の順に7つ挙げ、それぞれがどの工事につながるかを示します。
3-1. 床の沈みと建物の傾き|不同沈下か、土台・束の傷みかで工事が変わる
畳や床板の沈み、上下で隙間の違う建具は、建物の傾きのサインで、原因は大きく2つです。
一つは不同沈下(建物の一部だけが沈むこと)で、地盤や礎石が沈んでいる場合です。建物を持ち上げて基礎を直す工事になりやすく、費用は大きくなります。もう一つは、束(床を支える短い柱)や大引(束の上に渡して床を支える横木)の腐れで、この場合は床組の組み直しにつながります。
建物全体に及ぶ傾きはレベル3の候補です(数値での見方は4-2)。
3-2. 土台・柱脚の腐朽とシロアリ|水回りと北側の足元に出やすい傷み
浴室や台所のまわり、北側の外壁沿いは、土台や柱の根元が湿気で傷みやすい場所です。変色ややわらかさ、蟻道(シロアリが土でつくる通り道)がないかを確かめます。
傷んだ部分は、建物を仮に支えながら部材を入れ替えたり、柱の下部を切り取って新しい木を継いだり(根継ぎ)する工事で直します。シロアリの被害や腐れが広いほど、床や壁をはがす量が増えます。
部分的な傷みならレベル2、外周の多くに及ぶならレベル3が目安です。
3-3. 礎石のずれと石場建ての柱脚|基礎をつくり直すかどうかの分かれ目
古民家には、柱を礎石(柱を載せる石)の上に置き、基礎と固定しない「石場建て」の家があります。礎石と柱の位置のずれ、柱脚の浮き、礎石まわりの土の流れがないかを見ます。
リノベーションでの選択肢は、礎石の上の柱脚を活かして補強するか、上屋を浮かせてコンクリートの基礎に載せ替えるかです。載せ替えは耐震補強と床下の湿気対策、床の断熱を同時に進められる一方、工事の規模が大きくなります。
どちらを選ぶかは、耐震診断の結果と、目指す耐震性能で決まります。礎石のずれがシロアリや腐れによる柱脚の傷みと重なっていれば、レベル2以上と考えます。
3-4. 柱・梁の割れと継手の抜け|屋根の重さを受ける横架材の傷み
梁や差鴨居(柱と柱をつなぐ太い横木)などの横架材に、大きな割れやたわみ、継手・仕口(木と木のつなぎ目)の抜けがないかを確かめます。
表面の細い割れ(干割れ)は、木が乾く性質で生じることが多いものです。一方、つなぎ目の抜けや梁のたわみは、部材の補強や交換につながります。上の屋根や小屋組にも手が入り、費用が膨らみます。
3-5. 雨漏りの跡と小屋組の腐れ|屋根の下地まで傷んでいる古民家

天井のしみは、雨漏りの跡であることがあります。小屋裏(屋根と天井の間の空間)をのぞき、垂木(屋根を支える斜めの部材)や野地板(屋根材の下の板)に黒ずみがないかを見ます。
雨漏りが長く続いた古民家では、屋根材だけでなく下地や垂木、梁まで直す工事になり、屋根の断熱もあわせて考えることになります。木造2階建てで垂木まで及ぶ改修が屋根の過半になれば、建築確認の対象です。小屋組の腐れに及んでいれば、レベル2以上と考えます。
3-6. 増築部分との継ぎ目|雨仕舞と構造がつながっていない下屋・差し掛け
母屋と増築部分の境目に、雨漏りの跡や段差、隙間がないかを見ます。差し掛け(母屋の壁に寄せて架けた屋根)との取り合いは、雨仕舞(雨水が入らないようにする納まり)が弱くなりやすい場所です。
増築部分は母屋と構造がつながっていない場合があり、リノベーションでは撤去や建て直しも選択肢になります。
また、確認を受けずに行われた増築は、大規模なリフォームの確認申請で是正を求められる可能性があります。国土交通省の解説資料では、既存不適格(建てた当時は適法だった建物)への緩和は違反建築物に及ばないとされています。扱いは自治体の判断によるため、増築の時期と届出の有無を確かめます。
3-7. トタンを被せた茅葺屋根と重い瓦屋根|屋根の重さと耐震補強の関係
茅葺の上にトタン(鉄板)を被せた屋根や、土を載せて瓦を葺いた屋根は、古民家に見られます。屋根が重いほど、地震のときに建物にかかる力は大きくなり、耐震補強の量が増えます。
トタンの下の茅の状態は外から見えず、葺き替えのときに下地の傷みが分かることもあります。軽い屋根材に替えることは、耐震の面で有利に働きます。
第4章 内見で見極める古民家のセルフチェック|自分で確かめる3つの場所と専門家に任せる判断
内見で買い手が自分で確かめられる場所を3つに絞り、その先で専門家に任せる判断を整理します。
4-1. 外まわり|屋根の波打ち・軒先の垂れ・建物のまわりの水はけ
屋根のいちばん高い線(棟)の波打ちや軒先の垂れは、小屋組や柱の傷みが表に出たサインです。
足元では、雨どいの外れや、建物のまわりの水たまりを見ます。水はけの悪い敷地の物件では、土台や床下が湿りやすくなるためです。
4-2. 室内|床の傾きを数値で見る方法と、建具の開き具合

国土交通省の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」では、床の2点(3m程度以上離れたもの)を結ぶ線の傾きで、構造上の瑕疵(欠陥)の可能性を分けています。
| 床の傾き | 3mあたりの高低差の目安 | 構造耐力上主要な部分に瑕疵がある可能性 |
|---|---|---|
| 3/1000未満 | 約9mm未満 | 低い |
| 3/1000以上6/1000未満 | 約9〜18mm | 一定程度ある |
| 6/1000以上 | 約18mm以上 | 高い |
この基準は、新築時に性能評価を受けた住宅の完成後10年以内の紛争に向けたもので、古民家には傾きの大きさを見る目安として参照します。
水平器や計測アプリで複数の部屋を比べ、襖や雨戸の開け閉めの重さも確かめます。
4-3. 床下・小屋裏|点検口からのぞく場所と、無理に入らない理由
点検口があれば、ライトで床下や小屋裏をのぞき、湿り気やカビのにおい、雨染みを確かめます。
物件はまだ売主のものなので、点検口を開けるときは仲介会社を通じて売主の了承を得ます。けがや建物の傷みを避けるため、狭い床下には入らず、のぞける範囲にとどめます。
4-4. 専門家に任せる5つの判断|建物状況調査と耐震診断の違い
次の5つは、専門家でないと判断できません。
- 傷みが構造のどこまで及んでいるか
- どの程度の耐震補強が要るか
- 断熱や給排水管、電気配線をどこまで更新するか
- 石綿(アスベスト)を含む建材があるか
- 雨仕舞と増築部分をどう扱うか
国土交通省によると、建物状況調査(インスペクション)は、国の講習を修了した建築士が劣化や不具合を調べるものです。木造の一戸建てでは、実施後1年以内の調査が重要事項説明の対象になります。この調査は劣化の状況を見るもので、耐震性能を計算で確かめる耐震診断とは別物です。
石綿は、環境省の案内のとおり、改修工事の前に有資格者が事前調査を行う決まりです(2023年10月から)。
劣化の見立てとリノベーションの設計を別々に扱うと、費用の見通しがずれやすくなります。会社概要に二級建築士の登録を掲げ、設計と施工を同じ会社で扱う中邑工務店のような工務店では、見つかった傷みを設計の話につなげて考えられます。どの補強や改修で手当てするかまで、一続きで検討できるためです。
第5章 建物より先に確かめたい、古民家購入の敷地・法規・権利5項目

建物の状態が良くても、敷地・法規・権利の条件で改修や暮らしが制限されることがあります。古民家の購入前に確かめたい5項目です。
5-1. 接道と再建築不可|2025年4月以降の大規模リフォームへの影響
建築基準法には、敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していなければならない「接道義務」があります。これを満たさない敷地では建て替えができず、一般に再建築不可と呼ばれます。
2025年4月以降、木造2階建ての大規模なリフォームは建築確認の対象です。ただし、接道の規定に合わない既存不適格の建物には緩和の仕組みがあります。利用者が増える用途変更を伴わず、特定行政庁(建築確認を担う自治体)が交通・安全・防火・衛生の面で支障がないと認めれば、そのまま大規模な改修ができます。
この緩和は違反建築物には及ばず、判断も自治体ごとに行われます。再建築不可の物件で大規模なリノベーションを考えるなら、購入前に自治体の建築担当窓口で扱いを確かめます。
5-2. 市街化調整区域と農地付きの物件|建物の用途と取得の手続き
市街化調整区域(市街化を抑える区域)では、建て替えや用途の変更に許可が要る場合があります。カフェや民泊に使う計画なら、購入前に自治体へ確認します。
農地付きの物件では、農地法第3条の許可が要ります。農林水産省の資料によると、2023年4月1日に下限面積の要件は廃止されましたが、原則年150日以上農作業に従事することなどの基準は残っています。
5-3. 土砂災害警戒区域と水害ハザードマップ|重要事項説明で示される災害リスク
不動産取引の重要事項説明では、物件が土砂災害警戒区域内にあるかどうかが説明されます。国土交通省によると、2020年8月28日からは、水害ハザードマップ上の所在地も説明の対象になりました。
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)では、居室のある建物に土砂の衝撃に耐える構造が求められます。山あいの古民家では特に確かめたい項目です。
5-4. 浄化槽・井戸・私道|生活インフラを引き直す費用
環境省によると、2001年4月1日施行の浄化槽法改正で、単独処理浄化槽(トイレの汚水だけを処理する浄化槽)の新設は原則としてできなくなりました。既存の単独処理浄化槽の使用者には、合併処理浄化槽(台所や風呂の排水もまとめて処理する浄化槽)への転換に努める義務があります。
汲み取り式や単独処理浄化槽の物件では、水洗化や浄化槽の入れ替えが改修の費用に加わります。井戸水の水質や、私道の通行・掘削の承諾も購入前に確かめます。
5-5. 登記名義と境界|相続登記が済んでいない古民家の注意点
法務省によると、2024年4月1日から相続登記の申請が義務になりました。相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が必要で、それ以前の相続の未登記分は2027年3月31日が期限です。
空き家になった古民家では、登記の名義が亡くなった人のままのことがあります。相続登記が済まないと売買に進めないため、契約前に名義と、境界標(土地の境の目印)の有無を確かめます。
宅地建物取引業の免許を持ち、富山県を中心に土地・空き家の販売も扱う中邑工務店のような工務店であれば、建物の状態とあわせて、名義や境界といった取引の確認事項にも目が届きます。
第6章 見極めた結果を購入価格に反映する|古民家の購入費とリノベーション費用を合わせて判断する3ステップ
見極めた結果を、改修費の概算、契約条項の確認、合計額での判断という3つのステップで、購入の判断に落とし込みます。
6-1. 調査結果を工事項目に置き換える(STEP1)|改修費の見積もりを購入前に出す
第3章のサインは、補強・屋根・断熱・設備といった工事の項目と数量に置き換えて、はじめてリノベーション費用の概算になります。レベル2の傷みは、上限を含めた幅のある見積もりで押さえ、解体後に範囲が変わる前提で予備費も考えておきます。
昭和45年(1970年)に開業し、注文住宅やリフォーム、古民家再生を設計から施工まで扱う中邑工務店のような工務店であれば、傷みを工事の項目に置き換え、リノベーション計画の形で示せます。
6-2. 契約不適合責任の免責特約を確かめる(STEP2)|個人が売主の古民家物件で見たい契約条項
契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約の内容に合わないときに、売主が負う責任です。宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が自ら売主になる場合、責任を負う期間を引き渡しから2年以上とする特約を除き、買主に不利な特約は無効とされています。
個人が売主の場合はこの制限がないため、売主が責任を負わない特約(免責特約)を付けた契約もあります。ただし民法では、売主が知りながら告げなかった事実については、特約があっても責任を免れないと定めています。
免責特約付きの契約では、引き渡し後に見つかった土台の腐れなどの費用は、原則として買主の負担になります。購入後に後悔しないためにも、第4章の確認は契約の前に済ませておきます。
6-3. 購入価格と改修費の合計で判断する(STEP3)|価格交渉と見送りの線引き
判断の軸は、購入価格と改修費の合計です。次の3つを契約前に決めておきます。
- 出せる購入価格の逆算:予算の総額からリノベーション費用の上限を差し引き、物件に出せる金額を出す
- 価格の相談材料:レベル2の傷みは、見積もりの根拠を添えて、価格の相談材料にできる場合がある
- 見送りの線:レベル3の傷みでリノベーション費用の上限が決まらないときは、見送ると決めておく
この3つがそろえば、売り出し価格が、その古民家に払ってよい額かどうかを判断できます。
第7章 買ってはいけない古民家の見極めで寄せられる3つの疑問
購入を検討する段階で出やすい疑問を、3つ取り上げます。
7-1. 「リフォーム済みの古民家物件なら、構造の心配は少ないですか?」
内装が新しくても、床下や土台に手が入っているとは限りません。どこを直したかを、工事の記録や写真、当時の見積もりで確かめます。
仕上げが新しいぶん、以前の雨漏りやシロアリの跡が見えにくくなっていることもあります。リフォーム済みかどうかより、改修が構造に及んでいるかで判断すると、後悔を減らせます。
7-2. 「雪の季節に内見しても、傷みを見極められますか?」
床の傾きや小屋裏の雨染みの状態は冬でも確かめられますが、屋根や足元の水はけは雪に隠れて見えません。
富山県と富山市の案内では、多雪区域の垂直積雪量を標高に応じて1.5m以上、2.0m以上、2.5m以上と定めています。雪の多い地域の物件は、雪解けの後にもう一度見ると判断の材料がそろいます。
7-3. 「購入前に建物の診断を受けるには、売主の了承が必要ですか?」
物件は売主のものなので、建物状況調査や床下の確認には、仲介会社を通じた売主の了承が必要です。調査の日程は早めに調整します。
富山県の案内では(2026年9月時点)、1981年(昭和56年)5月31日以前に着工した木造一戸建てを対象に、自己負担2千円〜6千円で耐震診断を受けられる支援があります。伝統工法の住宅も対象ですが、購入前に申し込めるかは窓口の富山県建築士事務所協会で確認が必要です。
第8章 「いくらなら買えるか」を決める|買ってはいけない古民家を見極めた先の判断

判断の期限は、契約書に署名する日です。免責特約の付いた契約では、引き渡しの後に見つかった傷みの費用を、買主が負うことになります。見極めに使える時間は、契約までの短い期間だけで、署名後に気づいても後悔しか残りません。
見極めの結果は、購入価格に足す額として並べられます。レベル1の傷みは、リノベーション計画の中に含める額です。レベル2は、調査で範囲を絞ったうえで購入価格に上乗せする額で、レベル3は上限が決まらない額です。
材料は、構造の危険サイン7つ、内見の3つの場所、敷地・法規・権利の5項目です。3つの額が並んだとき、買ってはいけない古民家かどうかの答えは、買うか買わないかではなく、いくらなら買えるかという形になります。
建物と土地の両方から古民家を見る工務店|株式会社中邑工務店
株式会社中邑工務店は、会社概要に一般建設業の許可、二級建築士の登録、宅地建物取引業の免許を掲げる工務店です。建物の構造を見立てる仕事と、土地や権利を確かめる仕事が、一つの会社の事業の中にそろっています。
事業は、古民家再生、注文住宅の設計施工、リフォーム、法人建築、富山県を中心とした土地・空き家の販売に広がっています。昭和45年(1970年)に創業し、所在地は富山県富山市八尾町杉田147番地です。
同じ売り出し価格でも、床下と小屋裏の状態しだいで、その古民家が手ごろな買い物になるか、高くつく買い物になるかは入れ替わります。
